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「川が運ぶ土砂とアサリの関係」

工学研究科土木工学専攻 講師 横山 勝英



 金沢八景に横浜海の公園という人工海浜があります.ここではアサリが自然繁殖しており,潮干狩りを無料で楽しむことが出来ます.小粒ですが,身がぎっしり詰まっていてスーパーに売っているものよりも美味しいくらいです.

 人工海浜でアサリが増殖している理由は定かではありませんが,環境の条件が整えば生物が定着するという指摘をする専門家もいます.そして,アサリのような底生生物にとっては地形と海浜材料(底質)が環境条件として特に重要であると考えられます.

 さて,東京湾や有明海のような内湾の沿岸地形と底質は大部分が河川から供給された土砂によって形成されています.そのため,沿岸域の生態系を保全,再生,創造するには,森・川・海を通じた土砂の管理が必要であると考えられます.

 日本の河川は洪水氾濫と渇水を繰り返してきました.そのため明治以降,中央政府の主導の元,治山・治水のために,森林整備,砂防工事,ダム建設,河川改修,堤防整備,河口堰建設などが行われてきました.こうして土砂災害や水害の危険性はだいぶ減少したものの(今年は多発しましたが),川から海への土砂の供給量が減ってしまい海岸侵食や干潟環境の悪化を引き起こしています.

 そのため,私は前述のような治山・治水事業による土砂移動量の変化と沿岸域の地形や底質の変化の関係,それらが生態環境の及ぼす影響を調査しているところです.例えば,有明海に注ぐ筑後川では戦後,最大で5mも川底が低くなり,川の姿が大きく変化しました.その原因は,砂利採取が77%,河川改修が15%,ダムでの堰止が7%であり,高度成長期にコンクリート骨材や埋め立て材料として川砂利が持ち出されたことが最も大きく効いています.

 一方で,河口周辺の干潟における採貝量は減少しており,その対策として漁師はここ15年ほど干潟に砂を敷き詰めてアサリを「養殖」しています.したがって,川から砂利を大量に持ち出した結果,沿岸域への土砂供給が減少し,それが生態系に影響を及ぼしているというシナリオが推測され,現在,その解明に力を入れているところです.

横山研究室のページへ http://www.eng.metro-u.ac.jp/hydeng/yokoyama/
土木工学専攻のページへ http://www.eng.metro-u.ac.jp/civil/index.html

横山先生
横山先生(左側)
(右側は研究室の学生さんです)


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